ORFに行ってきたよ。


 3連休最終日。大学一年以降、三田祭という非日常にトリップし続けてきた私にとって、その日に行われてきたほかの出来事には目もくれなかったわけですが、そこに果敢にぶつけてきている、SFCのORFに初めて行ってきました。

 
 SFC ORF(Open Research Forum 詳しくはこちら)は、慶應義塾大学の湘南藤沢キャンパスが主催している、研究成果の発表の場です。研究成果を社会に還元することがSFCに課せられた重要な社会責任の一端と考え、毎年、展示やデモンストレーション、シンポジウムを実施しておるわけです。それを「関東一の出会い系学園祭」であり、同門の同志が主催している三田祭にぶつけているってとこが、今となっては大変面白いですね笑 社会人という立場になって初めて、今回お邪魔させていただきました。



 まずビジターパスの下半分の会場地図が反転表示されているところに軽く感動。なんで上下反転なのかは、実際に首にかけてこの地図を見ようとしたときに、人がどういうアクションを起こすのか、しっかりと観察していればわかります。そんなちょっとしたことが、大事だったりする。


 

 会場はなかなかの盛況ぶりで、熱気にあふれてました。ふつうに竹中平蔵とか山中俊治とか、有名知識人もうろうろ。私が見たのは【神成研究室】の”情報技術と農業の融合研究と、【汐留イノベーションスタジオ】による地域振興メディア開発の事例、あと【井上英之研究室】の社会起業に関する研究の3つ。あ、もちろん他にもざーーっと流し見たけど、学生さんに説明してもらったのはこれらがメインですかね。

 
 【神成研究室】の研究は個人的に非常に興味ぶかい領域で。これまで農業は、ノウハウやテクニックがいわば”勘”として個々の農家単位で蓄積されるだけで、明文化、マニュアル化されてこなかったと。それらを情報技術を駆使することでデータを可視化し、後世に伝承しやすく(もはや伝承という言葉は不適切かも)することによって農業人口の拡大や地域復興、若者の農業進出の支援になることをゴールにしている研究というわけです。着眼が非常に好きで、こういったことがしっかり形になれば確かに彼らがゴールとしていることは実現できるかな。ただ、新しいことだからこそ、ご高齢の農家の方に協力を受諾してもらうのは大変なことで、地道に頑張っていかないといけないだろうなあ。ビジネスとしてサステナブルな農業って日本にはまだまだ根付いていなくて、反面、農業の株式会社化が何もかも解決してくれるかというとそういうことでもない。失われてしまうものも出てくる危険性はあると思うのですね。そういうときに、たとえば情報技術のようなものが、何年も前から農家に蓄積されてきたノウハウを、ほかの方にも分かる形で残せるのは素晴らしいことだと思う。頑張ってほしいですね。


 【汐留イノベーションスタジオ】は、まあDがいっちょかみしてるコンテンツですね。地域振興と高齢化社会の二つの問題に対し、コンテンツ・メディア開発の領域で何かできないかっていうことだったんだけど、こちらはまだあまりビジョンが定まってない感じが・・・あ、競合だから悪くいってるわけじゃないですよ。ただ、こうやって産学協働で新たな試みをどんどんやっていこうという姿勢はすごくうらやましい。今の自分には、この業界は上位ほどチャレンジングで下位ほど守ってる気がしててね。それは上位下位の概念が「相似的縮小」構図だからいけないと思うのだけど。。。 規模はおいといて、もっとカラーみたいなのがあっていいと思うんだよね、特に下位の広告屋さんはね。だからこういう事例をみて、いい刺激を受けました。

 
 【井上英之研究室】は、懐かしい再会があったりして笑 取り上げようと思ってまだ取り上げてませんが、友人が社会起業を志して頑張っていたり、社内のビジネスプランでも社会起業の切り口で一案出せないかと思ったりと、マイブームトピックだったのですごくよかったです。社会起業ってまだまだ事業として黒字化していけるかどうかは融資先を見つけられるか次第だったり、ボランティアとの区別が認知されていなかったりと、未開の分野であることは確かです。でもだからこそ、コミュニケーションの滞りや困っている人がいると思うのよね。そういう部分で、何かできることはあると思ってて。もっと勉強しなくてはですね、この分野。



 というわけで、行くまではどんなものがあるのかよくわかってなかったけど、すごく有意義でした。自分は学生のときはいわゆる”学問”を完全に捨てて音楽ばっかりやっていたので、自分の知らない世界で学生さんが頑張っているのを見れたのが一番大きい。もちろん、単位欲しさにとりあえずゼミや研究室に所属する学生も多くいることはわかっていますし、そういう人たちと机を並べて勉学するくらいなら、本当に音楽が好きな連中と本気のチームワークを組もうと努力するほうが人生の糧になると当時思ってノンゼミという道を選んだのも事実。なのでそれに後悔は微塵もない。でも今考えれば、それは別に二者択一にしなくてもよかったのかなあとも思います。


 ま、勉強はいつだって、その人が望めば始められます。そう自分に言い聞かせて、勉強勉強。そんな六本木ライブラリー。東京タワーを眼下に、あと一冊読んで帰りまーす。