古きを温ねて新しきを知る


 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)の<広告批評展 ひとつの時代の終わりと始まり>に行って参りました。1979年の創刊から今年の最終号まで、時代の歩みとともに、広告という切り口から社会や時代を読み解いてきた大好きな雑誌の一つだったので、是非行こうと思っていた次第です。不思議なもので、自分がまだ幼稚園児だったときに流れていたCMも、いざ会場のモニターで再生されているのを見ると、なんだか覚えているような気がするんです。刷り込みの賜物なのか、それだけそのCMが秀逸で、たとえコミュニケーションターゲット外のガキンチョが観ても意識に突き刺さって今も残っているのか、それは分かりませんけど。

 
 いくつか、懐かしさとともに心に残っているものを。


「ああ、スポーツの空気がする」 伊勢丹 ’79


「好きだから、あげる。」 丸井 ’80


おいしい生活 西武百貨店 ’82


「サラリーマンという仕事はありません。」 西武セゾングループ(リクルート広告) ’87


ユニクロは低価格をやめます」 ユニクロ  ’04


「一瞬も一生も美しく」 資生堂 ’05






 懐かしいのから、最近のまで。いっときますけど、広告屋さんとして、”広告”として機能したかどうかという視点はこれらにはないですよ。ただ単純に一視聴者として好き!っていうのを選んだだけです。事実、「Love Beer?」とかは大変好評で人気を博したにも関わらず、Y村さんいわく「売れなかった」そうで。うーん、これだから広告は難しい。でも、そこが奥の深さでもあるんですけどね。でもやっぱりこうしてみると、資生堂の「本日私はふられました」は、もしかしたら一番好きなCMかも知れません。せつな過ぎる。演技上手すぎる。


 今年は本当に、広告屋にとってはアゲンストな1年でした。そんな年に広告批評が休刊になり、こうして今までの広告を振り返るのは、まあなにかの因果といいましょうか。今こそ、今までの広告を振り返るいいタイミングじゃないんでしょうか。もちろん、そこに今の時代にそのまま通用するものはないでしょうが、すべては知る事から。古きを温ねて、新しきを知る。新しきを知りそれを実現するためには、今を壊す必要があると切に感じます。


 広告が好きな人、将来この業界でオマンマ食って生きたい人は絶対にいったほうがいいと思いますよ。