ちいさなころはもっと手遊びしてた

ラクガキ・マスター 描くことが楽しくなる絵のキホン

ラクガキ・マスター 描くことが楽しくなる絵のキホン


 「いえでやろう。」シリーズや、R25のイラストで有名な寄藤文平氏の新著「ラクガキマスター」を読みました。たのしーこれー♪これ読んで、小さいころは絵が大好きで、ノートの端が真白だった試しがなくて、よく教科書を汚しては先生とか親に呆れられていたなあなんて、思い出した。なのにいまやさ、TVで芸能人がふにゃふにゃな絵を描いて笑い物になっているのを一緒に笑うばかり。笑われるんじゃないかという防衛意識で、絵なんて描いてなかったなあ、最近。もっと手遊びしよう。


 面白かったとこをちゃちゃっと紹介。

                                        • -

ラクガキ上達ラクラク10分トレーニン
 1.平行線100本・・・10cm程度の直線を1mm間隔で100本ぐらい描く。1本1秒で、1分40秒。
 2.円50個・・・直径10cmくらいの円を、急がず、描き始めと描き終わりをきちんとつなげて。1個6秒で5分。
 3.立方体と円柱20個・・・360度どこからでも描けたら無敵。1個10秒で、約3分弱。
  ・・・平行線、円と楕円、立方体と円柱。この3つが描ければその応用で大体のラクガキは描けます。

                                        • -


 やってみると結構難しいですけど、かなりうまくなっていくのがわかって楽しい。

                                        • -

・自分のイメージを絵に投影する方法・・・


 1.思い描く:イメージとはたいてい印象だけで都合よくツギハギしたかなりぼんやりしたもの。でもそれでもいいから思い描く。
 2.箱庭を作る:モノの要素と大まかな位置関係だけを決めた箱庭を描くor思い浮かべる。下書きみたいなもの。
 3.スカスカの箱庭ができる:2.の結果。ここからスカスカな部分を埋めていく。
 4.箱庭を印象に近づける:ここはもっと広いとか、もっと高いとか。地形のような大きなものから直していって、だんだん細部を修正していく。
 5.調べる:動物図鑑、樹の写真などなど。頭の中で見えていても、知らないことは絵にできない。きちんと調べることでようやく絵にすることができる。
 6.推測する:そこがどうなっているかわからない空白地帯があるので、そこを推測する。「水辺はこんな感じ」「滝の下には滝壺が普通ある」とか。
 7.箱庭の完成:ぼんやりしていた部分がなくなって全体がクリアーになったら完成。つまらなかった箱庭もきちんと描いていけば頭の想像より素晴らしい光景に。
 8.箱庭を使って描く:箱庭を見てもう一度頭の中で想像すると、さっきより格段にくっきり見える。そこで改めて、その光景を描いてみよう。

 ・絵を描くということは、まず、頭の中に描くべきイメージがあって、それを紙の上に描き出すことであると、そんな風に考えている人が多いかもしれないけど、実際はその逆。イメージが絵なるんじゃなくて、絵がイメージを作ってくれる。だから、絵が完成したとき、本当に完成したのは、紙の上の絵じゃなくて、頭の中のイメージなのです。

                                          • -


 さすが、というか、らしいな、と思ったのは、「調べる」という過程が入ってるとこですね。アーティストとデザイナーの違い、みたいなものを垣間見たような気がして。イラストとかラクガキは、上手じゃなくていいから、要素を押さえて「らしく」模すことということでしょう。最後の文とか、仕事とか音楽にも当てはまるような気がして、すごいなんか嬉しかったですね。何でもいいから、自分の外に形として出す。その過程が、とっても重要。

                                          • -

・僕にとって、上手に描くことは全然重要ではない。僕にとって大事なのは、たとえばクルマならドアミラーを描き忘れないこと。ドアミラーの付いてないクルマなんてありえません。じゃないと後ろが見えませんからね。クルマ好きの子供はドアミラーを忘れません。絵は下手でも描くべきものは描いてあるのです。僕はそういう絵が一番好きです。逆に、上手に美しく描かれたクルマなのに、ドアミラーがついてなかったりすると、すごくがっかりする。この人は、クルマのこと全然好きじゃないんだなあと思う。「どうやったら絵がうまくなりますか?」とたまに聞かれるのですが、好きなものを描けばいいのです。ところがどういうわけか、絵は特別な何かを描かなければならないと思われているフシがあります。自分が好きなものを素直に描くだけで、いい絵になるのに、個性的じゃなきゃとか、想像力を働かせなきゃとか、そういうことで描くのが絵だと思われているらしい。個性なんて自分では制御できません。想像力は、何かをものすごく好きになることの先にあるものだと思います。ドアミラーを描き忘れる人が未来のクルマを想像できるわけがないのです。

                                          • -


 そういう本じゃないと思うんですけど、なんか感動してしまった、最後の一文に、プロフェッショナリズムというか、指針・信念が感じられました。あるモノが好き、ということはとっても尊いことなんじゃないか、だから自分が好きだと思うことにもっと思いやりをもつべきなんじゃないかって、素で思いました。


 オススメです。いろいろ書いちゃったけど、単純に「おもしろい」ので♪