ヨハンのチーズケーキとオジサマ
土曜日、久々のお休み。こないだの3連休は出張で海外で、もはや3連休だったことすらすっかり忘れていたよん。1.5kmスポーツクラブで泳いで、お出かけ。久々の鴨南蛮とか食べて。やはり日本食は落ち着きますね。
で。
昨日のMTGでふと話が横道にそれて、中目黒のヨハンっていうチーズケーキ屋さんの話になった。そこはお店の人の平均年齢が70歳!くらいの、おじいさんおばあさんで運営されているほっこりするようなお店なんだけど、すごく有名で、東京で1,2を争う有名チーズケーキってなわけです。つくり自体は極々普通の素朴なチーズケーキで、それこそちょっとお菓子とか焼いてくれるお母さんなら家で作ってくれそうなもんなんだけど、このお店はその成り立ちがステキで。
1978年、工場勤務から定年退職になったオジサマたちが、なにか新しいことを定年を機にはじめたいと思っていろいろ考えたところ、そこの工場の工程と、チーズケーキ作りの工程がとっても似ていることに気づく。そんで、技師だったオジサマたちはチーズケーキ作りを勉強しつつも工場勤務で培ったノウハウをそのまんま丸ごと活かし、ヨハンを開業。以来、中目黒という街が換わり行く中、開業からずーっと変わらない味を作り続けているというわけ。ちゃんちゃん。
で何を隠そう、うちはまだヨハンのチーズケーキをたべたことがない。あるいはどこかで食べているのかもしれないけど、それをヨハンのチーズケーキだと認識していない。でもこの話聞くと、もう近々行ってみたくなるわけです。正直、ブラインドテストさせたらチーズケーキの良し悪しなんて、味だけじゃほとんど分からないと思うのさ。でも、ここでのオジサマたちのバックストーリーみたく、目的物の周りを取り巻く環境やヒモ付いた情報は、味覚そのものすらも変えてしまうんじゃないのって思ったのですね。正月にやってた芸能人格付けチェックもさ、ひどいもんじゃないですか散々旨い物食べてきたセレブが平気な顔して間違えるんだから。そう考えると、人が物事に対して感じ取る「価値」っていうのは面白いよね。
ブックディレクターの幅允孝氏の講演で聞いた羽田空港の「TOKYO'S TOKYO」の話を思い出しました。そこで売られている本は決して品揃えで魅せているのではなくて。たとえば、「東北に行く方へ Best3」と銘打たれた本棚には、たった3冊だけ本が紹介されていて、そこでの一位は「風の又三郎」だったりするわけです。それを手にとって、機内で東北につくまでの時間に風の又三郎をもし読んでくれたなら、空港を降り立って自分に吹いてきた風に、きっと又三郎を思い出すだろうというのがその選書のメッセージなんです。他の選書も全てそのような「行き先」と「そこから立ち上がるメッセージ・ストーリー」が基準になっている。
ものもサービスも単独で絶対評価価値を帯びるのはほとんど無理で、そこに人が介在して初めてその人との関係において価値が生まれる。その人とどのような関係を築くのかは、決してジャスト商品だけではないよね。広告屋さんにいるとこの手の話は散々聞かされたり本で読んだりするんだけどさ。改めて。で、人が価値を決めるからこそ、自分は人を理解していきたいし、そこに少しでもいい形でコミュニケーションしていきたい。その企画が立てたれるようになったらもはや会社とかどこでもよくなれるんだろうなあ。ああ道は遥けく。がんばりましょー。
- ジャンル:ケーキ
- 住所: 目黒区上目黒1-18-15
- このお店を含むブログを見る |
- (写真提供:アミーリア・アミコ)
今度いってきますよん。だれかご一緒しませんか?
〜〜〜〜〜〜
本日の一枚:
- アーティスト: Shakatak
- 出版社/メーカー: Shakatak Masters
- 発売日: 2008/01/11
- メディア: MP3 ダウンロード
- この商品を含むブログ (1件) を見る
80年代UKジャズファンクの代表バンド、シャカタクの1992年のアルバム。もうシンセの音が80年代丸出しな感じで、今聞くとむしろ一周回って新鮮に思えたりもする。このアルバム自体は90年代の作品なんだけど、それでも「90年代に80年代っぽく作った」くらいの聞こえ方。ダンサブルってこういうことでしょ?っていう感じの分かり易いビートなので、安心して聴けました。演奏はもちろん上手いし、Saxがすげー上手です。