”簡潔に” ”意図を汲んで”
せっかくいい天気の一週間だと思ったのに、週末だけ残念ですね。今日とか結構過酷じゃないですか。寒い雨ってホントしんどくて嫌いです。が、一仕事しに会社にいかなくてはならない。あーあ。まあ仕方ないね。
今週見たもの。
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仕事がね、紛糾していたから全然ですね。仕事は好きだけど、その分なるべく、プライベートではそこから離れたことをインプットしたいんだ。英語とか英語とか英語とか・・・w あーいい加減本腰を入れないと。やばし。
でまあ、井上雄彦。プロフェッショナル仕事の流儀も観ましたけど。彼は番組中にしきりに「小ざかしい」という単語を使っていて、それがやたらと印象的で。どういうことかというと、彼はバガボンドを書く上で、筋書きやエンディングを特に意識していないそうです。なぜって、そうやって書くことが「小ざかしいから」と。予定調和になるというか、自分が作ってやったっていう感じが出てしまうというか。観ていて思ったのは、もうこの作品は彼の手を離れていっていて、本人もそうしようしようとしている。彼が考えているのは、ただ「人」ということでした。そのキャラクターを芯の芯まで理解して、この人物ならココでなにを考えてどうするか、その通りに筆を走らせてあげる。人生とか、ストーリーって本来そういうものですもんね。「コントロール」することから完全に自由になるために、完全に「把握」することが必要になる。そのことを彼は、「自分の手に負えないことをやる」と表現していて、面白いなあって。
ミケランジェロが「自分は何も創造していない。ただ石の中から”彼”を救い出しただけだ」って言ったとされていますが、それに近いよね。コントロールすることから完全に自由になる。作中にある僧の沢庵の「お前の人生は完全に天によって定められていて、それゆえに完全に自由だ」という台詞も、きっと井上氏ご本人が感じられていることなのでしょう。登場人物の台詞は、彼がその人物を完全に理解したうえでつづられているものなので、つまり、井上氏本人が人生で経験したり感じたことしか書けないはずなのです。そうやって読むと、本当に恐れ入るし、プロフェッショナルを感じますね。井上氏いわく、「プロフェッショナルとは、常に向上し続ける人なんじゃないですかね。」 シンプルゆえに重みがあります。
この雑誌はもう去年の話ですが、「井上雄彦最後のマンガ展」とのタイアップなんだけど、その中で彼は「一瞬で、言葉にして伝わるものも、たしかにある。けれど、時間をかけて伝わったものは、簡単には流れていかないでしょう。」と言っております。また、対談相手に選ばれた小栗旬も面白いことを言っていて「ボクは最近、見聞きするものに対し、意図や理屈を読み取ろうとするのをやめているんです」と。
広告を日々仕事にしていると常に、「つまるところ何がメッセージなのか」「生活者は何を求めているのか」「クライアントのこの発言の真意は何か」とか、「一言でその価値を言うとなにか」「文章で説明できないものはメッセージとして機能しない」とか。そういうことを最優先事項として叩き込まれ、常にそういう目線で物事を見る訓練をするわけです。が、世の中の全てのコミュニケーション、というかもっと広い意味で言えば「伝え、伝わること」はもっと目線を高く広く見ないと、何かを見失うってことに、この二人の言葉でハッと気づいたような気がしたんです。井上氏のいう「小ざかしさ」がビジネスにおいては、もちろん重要だし、そこにプロフェッショナリズムを求められる仕事に就いているわけだから、まったく否定はしませんが、もっと視野を広く持とうと。そうじゃないと紋切り型の思考停止おじさんになりそうで。
たかが広告。それくらいの器は常に持っていたいですね。意図や理屈を超越して伝わってくるもの、一瞬では何も分からなくともジワジワとその人の価値感や人生観を揺るがすようなもの、そういうものとの遭遇をもっともっと経験したいです、この秋。
とか言いながら、ああ出社ww 小ざかしい小ざかしいwww