小春日和と深澤直人



 今日も幸せな天気。でももう暖かいのも今日でおしまいかも知れないですね。冬が来ます。空気のにおいが少しずつ冴え冴えとしていって。


 で、行ってきましたミッドタウン。



 展示はもちろん、深澤直人さんのコメントボードがとても納得するところがあって。写真ダメだったので筆記しましたよ頑張って。


 〜アウトラインとは、モノの輪郭のことである。その輪郭は、そのモノと、それを取り囲む周りとの境目のことである。そう考えると、モノに輪郭があるのと同時に、その周りの空気や環境などの全てにも、同じ輪郭が存在しており、その輪郭にモノが隙間なくはまっているとも定義づけられる。私の役割は、その輪郭を割り出し、そこにぶれなくはまるモノをデザインすることである。〜


 〜デザインをほどこそうとすること、あるいはモノに形を与えようとすること自体が主観的な行為である。モノには周りがある。周りとは生活とか環境のことである。形は「生み出す」ものではなく「見出す」ということが分かったのは、モノだけでなくそれと対をなすその周りにも、入れ子となる同じ輪郭があることに気づいたからである。生活のなかにモノがうまくはまりこんだときには、どちらが主体であるかという区別がなくなり、アイデンティティは薄れる。アイデンティティ(主体性)は「自己が環境や時間の変化に関わらず、連続する同一のものであること」と定義できる。仮にアイデンティティの表現媒体としてのデザインと捉えると、周りと関係なく同じ姿を保ち続け、周りと同調しないのがデザインということになる。逆に、モノではなく、周りの生活をデザインの主体と捉えると、そこに必要とされるモノの輪郭すなわち生活の中の入れ子の輪郭は見出せる。〜

 
 入れ子の穴は、モノであふれかえる現代においては、もう多くの穴は残されていない。だが、生活が時間の経過と共にゆるやかに変化していくにつれ、今までぴったりとはまっていて見えなかった境目の輪郭が相互のズレによって姿を現すことがある。〜



 長い!失礼しましたw 以前、「井上雄彦とミケランジェロ」のエントリーでも書いたことと発想のひっくり返し方が非常に似てます。自らの創造性にフォーカスを当てず、答えはそこに存在し、如何に注意深く観察し、そこから切り出せるかに着目をしている点がね。アートは独創性や、それこそ「アイデンティティ」の発露が求められる要素はあると思うのですが、深澤さんのデザイン哲学はそこに主眼は置かれておらず、「なぜこんなの思いつかなかったんだろう・・・」と皆がいうような、ポケットをついたものが、実は一番優秀なのではないかという、それが一番の賛辞なのかも知れないですね。広告も、きっとそうね。



 という、クラウドシナプスが強化されたいい展でした。まだまだやってるので是非。


 プロトタイプ展にも行ってきたのですが、長くなったのでまた明日〜。よっしゃー月曜じゃー!!