パントンと創造的破壊

 ヴェルナー・パントン展、終了直前で行ってまいりました。



 【ファンタジーランドスケープ】 1970年


 1970年ケルン家具見本市での展覧会「ヴィジョナ2」で発表された伝説のインスタレーション。「ヴィジョナ2」は、パントンがドイツのバイエル社の依頼により制作した展覧会で、コンセプトは「未来のインテリア」だったそうな。ライン川に浮かぶ船の内部で開催されたこの展覧会には、4日間で約2万4000人もの来館者が訪れたとのこと。実際、今回の展示でも靴を脱いで、約8m x 6m x 2.4mのカラフルな洞窟空間の中で自由に座ったり横になったり。ずっといた人とかいたw



 その他、パントンの初期の作品たち。



 で、一番有名なのは、やっぱりパントンチェア。デザイン史のアイコンとして以外にも、世界初のプラスチックによる一体成型の椅子だったっていう意味でも画期的なインテリアだそうです。


 ヴェルナー・パントン氏は、60年代の反体制的・急進的な時代精神を追い風に、それまでのデンマークの主流であったクラフツマンシップに乗っ取った木質デザインを破壊する作品を発表しつづけました。金属ワイヤーやプラスチックなどの新素材、幾何学模様、光源が直接目に触れないように設計された照明、奇抜な色遣いなどなど。彼は、「より心地よく、しかも知覚と身体に訴求し、色に満ちた空間」の実現を目指していたそうで。


 「自分が好きな色の椅子は、座り心地がいい」
 「私が思うに、インテリア全体、色彩、家具、テキスタイル、ライティングは総合的なものとして計画されなければならない」


 うーん、他のことにも通じるような、なんだか真理がうかがえるお言葉。


 彼もまだ独立する前の若い頃、ヤコブセンの事務所に2年間勤めていたということが、一番意外で印象的だったなあ。どんなに独創的で前例のないことを成し遂げた人にも、そこには何らかの基礎、ベースとなる体系づけられた事柄を学んだ一時、みたいなのは共通してあるのかもしれないですね。彼の作風やインテリアそのもののデザイン以前に、彼の人生の歩み方そのものが、創造的破壊に満ちてたんだろうきっと。


 いい刺激浴びました。